ドイツ語に Apfel とかPfeife とか、pfという綴りがあるというのは前に書いた。発音しにくいなあ、というようなことを書いたように思う。英語やフランス語にはない綴りである。もちろん日本語にはあるわけがない。ドイツ語以外でpfの音がある言語は稀らしい。どっかにはあるようなことが何かにかいてあったが、どこにあるのか、何に書いてあったか、さっぱり覚えていない。ドイツ語をかつて習ったときには[p]の音を発音してそのまますばやく[f]の音を発音しろ、というようなことだったように思う。[p]というのは上の唇と下の唇をくっつけたところに息を通す、両唇音で、かつ、破裂音という、閉じたところを息で急に開かせて出す音のようである。一方、[f]というのは上の歯で下唇を軽く押さえて、その間に息を通す歯唇音であり、完全には歯と唇の間を閉じないで隙間に息を通す摩擦音ということらしい。これを続けて発音するのはなかなかあわただしいわけであるが、先に挙げた、題名を覚えていない本によると、要するにpfというのは上の歯で下唇を押さえたときに隙間を作らないで破裂音として音を出すということらしい。pとfを別々に発音するんじゃないんですな。歯唇破裂音、というのでしょうか。そのように発音してみると、確かにpの音を出してfの音に続ける、というよりは何ぼか発音しやすい、ような気がする。気のせいかもしれないが。
ドイツ語を習った先生は、わしは最初からそう教えたはずじゃ、と仰るかもしれない。お前が勝手にpとfを別々に発音するものだと思いこんどっただけじゃ、と。
フランス語や英語にはない音だが、フランス人やイギリス人は「発音しにくい音だなあ」と感じているのだろうか?