3. argument by cause。 因果関係に基づく論法。「してはいけない論法」に、「単なる時間的前後関係を因果関係であるかのごとく論じる」というのがあったが、ちゃんとした因果関係に基づいて論じるのは望ましいわけである。しかし、この「ちゃんとした因果関係」かどうか、というところが曲者なわけである。なかなか見極めるのには年季が必要かもしれない。
「長年苦しんでいた頭痛が○○という薬を飲んだら治ってしまった。○○は頑固な頭痛の特効薬である」
まず、そういう事実がほんとうにあるのかどうか。ときどき、「余命半年といわれた進行ガンが、××を飲みはじめたらすっかり消えてよくなってしまい、その後5年経っても元気でいる」というような広告を見かけたりするが、まるっきりのでっちあげということもありうるし、「余命半年のガン」という見立てが誤診だったりすることもあるかもしれない。頭痛だって同じようなことがあるだろう。
○○という薬を飲んだら良くなったというが、薬を飲むのと同時に生活パターンをかえた(例えば、それまでは不規則な食生活だったのに、○○という薬は「朝・昼・晩の3回、8時間以上の間隔で必ず食後に飲まなければいけない」という制約のある薬で、この薬を飲むために規則正しい生活になった、ということがあったとすれば、その生活改善で頭痛が治った可能性も考えないといけないだろう。
いかにもっともらしい因果関係っぽい話を作り上げられるか、人をたぶらかせるかどうかの分かれ道である。